指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)
歯科矯正・顎口腔機能診断施設基準適合医院
歯科医師 石井一裕(日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医)

外科矯正治療(顎変形症)について

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外科矯正治療(顎変形症)について

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外科矯正治療とは

上顎骨と下顎骨の位置関係のズレが大きく、矯正治療だけでは治らない咬み合わせを“顎変形症”といいます。治療には矯正治療に加え、外科手術による顎骨の移動が必要です。この治療法を「外科矯正治療」といいます。

 

外科矯正治療の流れ

(1)術前矯正治療 (術前矯正)
( 矯正治療を1年~2年行います。)

(2)入院・手術 
(1~2週間の入院が必要です。) 
↓ 
(3)術後矯正治療 (術後矯正) 
(半年~1年くらい行います。)

(4)保定期間 
(保定装置を使用し咬合が戻らないようにします。)

術前矯正とは:手術前に歯の凸凹をとったり、上アゴ・下アゴの幅を合わせたりして手術後より咬みやすくするための矯正治療です。また、上下の前歯をそれぞれのアゴの中で適正な位置にもってくるのもこの時期です。

術後矯正とは:最終的にタイトな咬み合わせをつくる仕上げ治療を行います。術前矯正で治しきれなかった部分を治すのもこの時期です。

 

外科手術について

外科手術は、下顎骨のみ行う方法、上顎骨と下顎骨両方を手術する方法があります。手術は全て口腔内から行いますので、顔の外に傷が残ることはありません。また、手術は全身麻酔で行い、1~2週間の入院が必要になります。
なお、当科においては、手術は顎変形症に対する手術を専門に行っている総合病院の口腔外科の先生に依頼しています。

外科矯正治療のメリット・デメリット

外科矯正治療には以下のようなメリット・デメリットがあります。これらの条件を考慮し、総合的に判断した結果、患者様に対してメリットの大きい治療法を選択しています。

 

費用と保険について

顎変形症に対する矯正治療(外科手術をともなう矯正治療)には、保険が適用されます。

外科手術をともなう矯正治療だからといって、すべての医療機関で保険が適用されるわけではありません。
保険の適用は、認可された医療機関(自立支援医療(更生・育成医療)機関・顎口腔機能診断施設)での治療に限られます。当院はこの認可を受けています。

手術での高額療養費について

医療費が高額になった場合、自己負担額を超えた金額は、高額医療費としてその基準を超えた額が各健康保険や各種組合から給付されます。たとえば、月収が56万円未満の方は同じ病院で支払った1ヶ月の医療費が、72300円を超える場合、手続きをすれば超えた分が戻ってきます。

 


アニメーションによる外科矯正治療の解説

(手術による骨の動きがはっきり分かります、5秒ほど画像を見続けて下さい)

・骨格性下顎前突症

下顎骨が前方に位置する症例に対する治療法です。

下顎骨を口腔内から切断し、下顎骨を後退させ手術をした場合です。

 

 


 

・骨格性上顎前突症  (下顎後退症 )

相対的に下顎骨が後方に位置する症例に対する治療法です。

下顎骨を口腔内から切断し、下顎骨を前方移動手術を行い、

オトガイ部も前方へ移動させた場合です。

 

    


・顔面非対称症例 (上下顎骨偏位) 

骨格的に下顎骨が右側へ偏位し、それに伴い上顎も右側へ傾斜しています。

上顎骨と下顎骨を口腔内から切断し、顔面非対称を改善した場合です。

 

    

 

外科矯正治療例

症例1ー骨格性下顎前突症

下顎骨が大きく、上顎骨が後方に位置していた症例です。

術前矯正治療後、手術では上顎骨を前方に、下顎骨を後方に移動しました。

症例1
1.主訴:下アゴが出ている。前歯で物がよく咬めないる。
2.診断名:下突咬合、下突顎、上突歯列
3.年齢:15歳2か月
4.治療に用いた装置:マルチブラケット装置
5.抜歯部位:上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯
6.治療期間:1年10か月
7.標準的な費用の目安:保険診療自己負担額(3割負担)で、¥250,000〜¥300,000 ※外科手術費(保険)は別途(提携病院実施)
8.一般的なリスク・副作用:初めて装置を装着した時やワイヤー調整後、個人差はありますが、違和感や咬むと痛みを感じることがあります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
  個別リスク・副作用:全身麻酔の手術が必要。人によって外科手術に伴い下顎管の損傷により神経麻痺が生じる可能性があります。
また手術で下顎を後方移動していますので、その後戻りにより前歯の咬み合わせが浅くなることがあります。


 

症例2ー小下顎症、開咬

下顎骨が小さく、上顎前歯が前突していた症例です。前歯も咬んでいない状態の開咬も認められました。術前矯正で上顎前歯を後退した後、手術では下顎を前方に移動しました。

 



症例2
1.主訴:出っ歯。下アゴが引っ込んでいる。前歯で物がよく咬めない。
2.診断名:上突咬合、下後退顎、両突歯列
3.年齢:32歳1か月
4.治療に用いた装置:マルチブラケット装置
5.抜歯部位:上顎両側第一小臼歯、下顎両側第一小臼歯、上下顎左右第三大臼歯
6.治療期間:3年1か月
7.標準的な費用の目安:保険診療自己負担額(3割負担)で、¥250,000〜¥300,000 ※外科手術費(保険)は別途(提携病院実施)
8.一般的なリスク・副作用:初めて装置を装着した時やワイヤー調整後、個人差はありますが、違和感や咬むと痛みを感じることがあります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
  個別リスク・副作用:全身麻酔の手術が必要。人によって外科手術に伴い下顎管の損傷により神経麻痺が生じる可能性があります。
また手術で下顎を前方移動していますので、その後戻りにより前歯の咬み合わせが大きくなることがあります。


 

症例3ー下顎骨非対称症例

骨格的に下顎が右側にずれていた症例です。術前矯正治療後、手術で下顎のズレを改善しました。また、治療により側貌観も良好になりました。


症例3
1.主訴:下アゴが左にずれている。口角が右上がりである。
2.診断名:偏位咬合、偏位顎、両突歯列、上下顎叢生歯列弓
3.年齢:23歳4か月
4.治療に用いた装置:マルチブラケット装置
5.抜歯部位:上顎両側第一小臼歯、下顎右側第二小臼歯、下顎左側第一小臼歯、上下顎左右第三大臼歯
6.治療期間:3年9か月
7.標準的な費用の目安:保険診療自己負担額(3割負担)で、¥250,000〜¥300,000 ※外科手術費(保険)は別途(提携病院実施)
8.一般的なリスク・副作用:初めて装置を装着した時やワイヤー調整後、個人差はありますが、違和感や咬むと痛みを感じることがあります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
  個別リスク・副作用:全身麻酔の手術が必要。人によって外科手術に伴い下顎管の損傷により神経麻痺が生じる可能性があります。
また手術で上下顎のズレ、傾きを治していますので、僅かに術前の状態に変化することがあります。